Yukis Praline Creation
自宅のキッチンがプラリネ工房に

私の自宅には天然石の作業台があります。ここが私のプラリネ工房です。クリスマスには6種、全部で500個くらい作ります。機械は一切使用しません。プラリネ作りの基本工程「テンパリング」は、おいしく美しく仕上げるためにとても大事な作業です。チョコレートを溶かす工程ですが、温度調節を誤ると仕上がりは台無しになってしまいます。プロの職人にテンパリングを教わりましたが、コツは「時間」「動き」「温度」だそうです。私は湯煎でテンパリングを行います。初めのうちは温度計を使いましたが、今では自分の感覚に頼っています。これはほんの一例ですが、このようにプラリネ製造に必要なすべての工程を手作業で行っています。
プラリネ作りの極意

プラリネ作りには丁寧な手作業と経験がもちろん大事ですが、同等に重要なのは「静」と「忍」の心です。冷静に辛抱強く作業をするということです。イライラしたり急いで作業を進めると失敗の原因になります。チョコレートは熱をよく通すので、多少の過熱でも思いもよらず温度が上昇してしまいます。ガナッシュにアルコールなどを加えるときは、少量ずつ行わないと急激な温度低下でガナッシュが分離してしまいます。焦らず時間をかけて少しずつ作業を進めることが、良い仕上がりへの近道です。
プラリネ製法

初めの頃はガナッシュを手で丸めて、クベルチュールチョコレートでコーティングしていました。講習会を受けてからは、ホールクーゲル(中が空洞の球形チョコレート)をガナッシュで詰めて、クベルチュールでコーティングする製法に変えました。そうすることによって、舌溶けの良いやわらかいフィリングが可能になり、チョコレート以外の素材の風味も強く出せるようになりました。その他には、バターガナッシュを正方形に切ってクベルチュールでコーティングする製法も行っています。表面のチョコレートをパリッと噛むと、バターたっぷりのまろやかなガナッシュが口の中に広がっていきます。至福のひとときです。
素材にこだわったオリジナルレシピ
レシピの創作には試行錯誤を繰り返し、納得のいく味を追求しています。チョコレートはとても存在感が強いので、フルーツや茶、アルコールと組み合わせてフィリングを作ると、これらの素材がチョコレートに負けてしまうことがよくあります。例えばエクゾティックトリュフは、しっかりマンゴーの風味が出るよう何度も配分を変えて出来上がったレシピで、今ではクリスマスの定番です。スイスという最高のロケーションですから、高品質のチョコレートには事欠きません。またフィリングに使用するスパイスや蒸留酒、フルーツなども、良質のものをセレクトしています。